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セラミドNPとは?全成分表示で分かること・分からないこと

バリア機能保湿

由来: 合成(ヒト型)

セラミドNPは、脂肪酸とフィトスフィンゴシンからなるセラミドの個別表示名です。全成分欄でNPの配合有無は確認できますが、原料の由来、純度、完成品中の配合率までは分かりません。セラミド全般の種類や化粧品の比較は、総論のセラミドハブで扱います。

商品名、JAN、剤形・容量、公式画像、全成分表示を照合したSKUだけを掲載しています。医薬部外品の有効成分表示と一般化粧品の全成分表示を分け、内服OTCや濃度の推定を混ぜません。

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みんなの成分表編集部

査読論文・公的資料・公式表示を基にした編集部解説・最終更新

この記事の要点

  • セラミドは角層の細胞間脂質を構成し、水分保持と皮膚バリアの構造を支える脂質群です。
  • セラミドNPのNは非ヒドロキシ脂肪酸、Pはフィトスフィンゴシン型の塩基を表します。
  • NP・AP・EOPは構造の異なるセラミドで、旧称の数字表記とは一対一に読めない場合があります。
  • 化粧品の評価はセラミドの有無だけでなく、コレステロール・脂肪酸・油性成分を含む処方全体で行います。

セラミドとは

セラミドは、脂肪酸とスフィンゴイド塩基が結合した脂質の総称です。人の皮膚では、角層細胞の間を満たす細胞間脂質の主要成分として存在します。角層はよく「レンガとモルタル」にたとえられ、角層細胞がレンガ、セラミド・コレステロール・遊離脂肪酸からなる脂質がモルタルに相当します。セラミドは一種類の物質ではなく、脂肪酸と塩基の構造の組み合わせにより多数のサブクラスと分子種に分かれます。

根拠資料: [1][2]

肌のバリア機能と水分保持を支える仕組み

角層の細胞間脂質は、脂質分子が規則的に重なったラメラ構造をつくります。この構造が、体内からの過剰な水分蒸散を抑え、外部の化学物質などが通過しにくい環境をつくります。重要なのはセラミドの量だけではありません。セラミドのサブクラス、脂肪酸鎖の長さ、コレステロールや遊離脂肪酸との組成、脂質がどのように並ぶかがバリア特性に関係します。したがって、化粧品にセラミドが入っているという一項目だけで、製品全体の保湿力を予測することはできません。

根拠資料: [1][3][2]

角層の細胞間脂質が規則的に重なるラメラ構造を表した概念図

セラミドNPとは:NとPが示す構造

セラミドNPは、非ヒドロキシ脂肪酸(Non-hydroxy fatty acid)のNと、フィトスフィンゴシン(Phytosphingosine)のPを組み合わせた名称です。つまりNPは、セラミドの構造を構成する二つの部分を示す記号です。研究文献ではCER[NP]のように表記されることもあります。フィトスフィンゴシン型のセラミドは人の角層にも存在しますが、化粧品の全成分表示にある「セラミドNP」から、原料の由来、脂肪酸鎖長、純度、配合濃度まで読み取ることはできません。

根拠資料: [4][5]

セラミドNPのNは非ヒドロキシ脂肪酸、Pはフィトスフィンゴシンを示す図解

セラミドNP・AP・EOPの違いと旧名称

セラミドAPはα-ヒドロキシ脂肪酸(A)とフィトスフィンゴシン(P)、セラミドEOPはエステル化ω-ヒドロキシ脂肪酸(EO)とフィトスフィンゴシン(P)からなるサブクラスです。古い化粧品資料では、セラミド1、3、6-IIをEOP、NP、APに対応させる説明が広く使われました。ただし数字による旧分類は研究史のなかで命名法が統一されておらず、現在の構造ベースの名称と常に完全な一対一対応になるとは限りません。商品を確認するときは、古い数字だけでなく、現在の全成分表示に記載されたNP・AP・EOPなどの名称を見ます。

根拠資料: [6][5][7]

セラミドNP、AP、EOPは構造の異なる表示名であることを示す図解

「ヒト型セラミド」は表示名称ではない

「ヒト型セラミド」は、皮膚に存在するセラミドと同じ、または類似する構造を持つ原料群を説明するときに商品情報で使われる表現です。一方、日本の全成分表示では、セラミドNP、セラミドAP、セラミドEOPなど個別の表示名称が使われます。「ヒト型」という表現だけから、原料が人由来であることや、配合量、製法を判断することはできません。原料由来や製法を知りたい場合は、全成分表示ではなくメーカーの原料説明や問い合わせ情報を確認します。

根拠資料: [14][15]

セラミド配合化粧品の研究で分かっていること

セラミドを含む保湿製剤は、乾燥肌やアトピー性皮膚炎に伴う皮膚バリア低下を対象に研究されています。成人の湿疹を対象にした無作為化比較試験では、セラミドを含む洗浄料とクリームの組み合わせで、28日後の経皮水分蒸散量と角層水分量に対照製品との差がみられましたが、湿疹の重症度指標には有意差がありませんでした。小児を対象にした別の試験では、セラミド配合保湿剤とパラフィン系保湿剤の臨床効果は同程度でした。これらは完成品同士の比較であり、セラミドNP単独の効果や、すべてのセラミド化粧品の優位性を示すものではありません。研究には製品メーカーの関与があるものもあり、処方、対象者、期間を分けて読む必要があります。

根拠資料: [8][9][10][11]

セラミドは処方全体で見る

角層の脂質構造は、セラミドだけでなくコレステロールと遊離脂肪酸を含む複数の脂質から成ります。保湿製品では、これらの脂質、グリセリンなどの保湿剤、ワセリンや植物油などの油性成分、乳化剤を組み合わせて、水分保持、蒸散抑制、塗り広げやすさを調整します。セラミドは水に溶けにくいため、製品内で安定して分散・乳化させる設計も必要です。同じ「セラミドNP配合」でも、ローション、乳液、クリームでは油分量、使用感、肌に残る時間が異なります。

根拠資料: [3][1][12]

グリセリン・ヒアルロン酸・ワセリンとの違い

セラミドは角層の細胞間脂質を構成するバリア脂質です。グリセリンとヒアルロン酸Naは、水分を引き寄せて保持するヒューメクタントとして使われます。ワセリンは皮膚表面に油性の膜をつくり、水分の蒸発を抑える閉塞剤です。役割が異なるため、いずれか一つを選ぶというより、乾燥の程度や好みの感触に合わせて、同じ製品や重ね使いで組み合わせることがあります。水分を補うローションだけでつっぱる場合は、乳液やクリームのように脂質・油性成分を含む剤形も選択肢になります。

根拠資料: [12][8]

セラミドと代表的な保湿成分の違い

保湿成分は、角層の脂質構造を補う、水分を抱える、皮膚表面を覆って蒸発を抑えるなど役割が異なります。成分単体の優劣ではなく、処方中で担う代表的な機能を整理します。

セラミドNP

分類
バリア脂質
主な役割
角層の細胞間脂質を構成し、脂質の層状構造を支える
特徴
非ヒドロキシ脂肪酸とフィトスフィンゴシンからなるセラミド。

グリセリン

分類
ヒューメクタント
主な役割
角層に水分を引き寄せて保持する
特徴
水溶性の低分子ポリオール。幅広い剤形に配合される。

ヒアルロン酸Na

分類
ヒューメクタント
主な役割
水分を保持し、皮膚表面の保湿を支える
特徴
高分子の多糖類。分子量や誘導体、処方で感触が変わる。

ワセリン

分類
閉塞剤(オクルーシブ)
主な役割
皮膚表面を覆い、水分の蒸発を抑える
特徴
水分を引き寄せるのではなく、油性の膜で経皮水分蒸散を抑える。

根拠資料: [12][1][8]

セラミド化粧品の全成分表示を読むポイント

まず、商品説明の「セラミド配合」だけでなく、全成分表示でセラミドNP、AP、EOPなどの名称を確認します。日本の化粧品は原則として配合量の多い順に表示されますが、1%以下の成分は順不同で表示でき、着色剤にも例外があります。そのため表示位置から正確な濃度は分かりません。次に、グリセリンなどの保湿剤、コレステロールや脂肪酸、ワセリンなどの油性成分、香料・エタノール、剤形を見ます。顔、体、洗い流す製品、洗い流さない製品では使用方法も異なるため、目的の部位と使用頻度が合う完成品を選びます。

根拠資料: [16][17][14]

化粧品に使われるセラミドの安全性

Cosmetic Ingredient Review(CIR)は、セラミドNPを含む23種類のセラミドについて、化粧品で報告されている使用方法と配合濃度の範囲で安全に使用できると評価しています。評価資料では、セラミドNPのワセリン分散物を用いたヒトのパッチ試験で皮膚刺激はみられず、モルモットを用いた感作性試験でもセラミドNPは感作性を示しませんでした。ただし、安全性評価は完成品がすべての人に合うことを保証するものではありません。赤み、かゆみ、腫れ、強い刺激が出た場合は使用を中止し、症状が続く場合は皮膚科に相談してください。

根拠資料: [13]

疑似セラミド・グルコシルセラミドとの違い

疑似セラミドは、天然のセラミドとは化学構造が異なるものの、角層脂質に似た働きを目指して設計された合成脂質の総称です。全成分表示では必ずしも「セラミド」という名前にならず、原料固有の表示名称が使われます。グルコシルセラミドは、セラミドに糖が結合したスフィンゴ糖脂質で、セラミドNPとは別の成分です。塗る化粧品のセラミド研究と、食品・サプリメントとして摂取するグルコシルセラミドの研究は、投与経路も評価項目も異なるため、同じ根拠として混ぜずに読みます。

根拠資料: [2][6]

セラミドNPのよくある質問

セラミドにはどのような効果がありますか?

人の皮膚にあるセラミドは、角層の細胞間脂質として水分が逃げにくく、外部物質が通りにくいバリア構造を支えます。化粧品では、乾燥した角層を保湿し、バリアを補う目的でセラミドが配合されます。製品の効果はセラミドだけでなく処方全体で決まります。

セラミドNP・AP・EOPは何が違いますか?

脂肪酸とスフィンゴイド塩基の構造が異なります。NPは非ヒドロキシ脂肪酸+フィトスフィンゴシン、APはα-ヒドロキシ脂肪酸+フィトスフィンゴシン、EOPはエステル化ω-ヒドロキシ脂肪酸+フィトスフィンゴシンです。

セラミド1・3・6-IIとNP・AP・EOPは同じですか?

化粧品では旧称のセラミド1、3、6-IIをそれぞれEOP、NP、APに対応させる説明が多く使われます。ただし古い数字分類は命名法が統一されていなかったため、商品確認では現在の全成分表示にある構造名を優先します。

ヒト型セラミドとは何ですか?

皮膚に存在するセラミドと同じ、または類似する構造を持つ原料群を説明するための商品表現です。全成分表示ではセラミドNP、AP、EOPなどと記載されます。「ヒト型」という言葉だけから原料由来や配合量は判断できません。

セラミドは種類が多い製品ほどよいですか?

種類の数だけで保湿力や製品の優劣は決まりません。セラミドの種類と量に加え、コレステロール、脂肪酸、グリセリン、油性成分、乳化構造、剤形など処方全体が使用感と機能に関係します。

セラミドとグリセリン、ヒアルロン酸はどう違いますか?

セラミドは角層の脂質構造を支えるバリア脂質です。グリセリンとヒアルロン酸は水分を引き寄せて保持する保湿成分です。働き方が異なるため、一つの製品で組み合わせて配合されることがあります。

全成分表示の前方にあれば高濃度ですか?

日本の化粧品は原則として配合量の多い順に表示されますが、1%以下の成分は順不同にできるなど例外があります。前方にあることは手掛かりになりますが、表示だけで正確な濃度や製品の保湿力は分かりません。

セラミド配合化粧品は敏感肌にも使えますか?

セラミドは乾燥肌向けの保湿製品に広く使われますが、肌への適否は香料、エタノール、防腐剤、油性成分などを含む完成品全体で変わります。敏感な時期は使用部位で少量から試し、刺激や赤みが出た場合は中止してください。

塗るセラミドと飲むグルコシルセラミドは同じですか?

同じではありません。セラミドNPは化粧品の全成分表示に使われる脂質成分で、グルコシルセラミドはセラミドに糖が結合した別の成分です。塗布と経口摂取では研究の条件や評価項目も異なります。

参考文献

  1. [1]PMC:角層バリアと脂質組織(セラミド・コレステロール・遊離脂肪酸)のレビュー
  2. [2]PMC:皮膚の透過・抗菌バリアを構成する脂質のレビュー
  3. [3]PubMed:角層セラミドの生物物理学的特性に関するレビュー
  4. [4]PMC:セラミドNPの構造と脂質膜に関する研究
  5. [5]PMC:ヒト角層セラミドのサブクラス命名と定量法
  6. [6]PMC:皮膚セラミドの構造・命名・バリア機能に関するレビュー
  7. [7]PMC:セラミドEOP・NP・APと旧数字名称を扱った臨床研究
  8. [8]PubMed:皮膚におけるセラミドとスキンケア製剤の臨床レビュー
  9. [9]PubMed:成人の湿疹に対するセラミド配合スキンケアの無作為化比較試験
  10. [10]PubMed:小児アトピー性皮膚炎におけるパラフィン系・セラミド系保湿剤の無作為化比較試験
  11. [11]PubMed:セラミド・グリチルレチン酸・ワセリン系保湿剤の比較試験
  12. [12]PMC:保湿剤のヒューメクタント・閉塞剤・バリア作用に関するレビュー
  13. [13]International Journal of Toxicology:Safety Assessment of Ceramides as Used in Cosmetics(CIR Expert Panel)
  14. [14]日本化粧品工業会:化粧品の成分表示名称リスト
  15. [15]厚生労働省:化粧品の全成分表示の表示方法等について
  16. [16]日本化粧品工業会:化粧品の全成分表示に関するガイドライン
  17. [17]化粧品公正取引協議会:化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則
編集: みんなの成分表編集部記事・データの作成方針運営会社

医師監修

正田 快医師
正田 快 医師

千葉大学病院所属

形成・美容外科

順天堂大学医学部卒

最終監修日: 2026.07.18