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グリセリンとは?スキンケアでの効果・使われ方を解説

保湿有効成分

由来: 植物由来/合成

グリセリン(glycerol)は、水となじみやすい無色透明の成分です。角層に水分を抱え込む保湿剤(ヒューメクタント)として、化粧水、美容液、乳液、クリーム、洗顔料など幅広いスキンケア製品に使われています。乾燥で硬くなった角層をやわらかく保ち、なめらかな感触を支える、化粧品の代表的な保湿成分です。

みんなの成分表編集部

査読論文・公的資料・公式表示を基にした編集部解説・最終更新

この記事の要点

  • グリセリンとグリセロールは同じ成分で、水分を抱え込むヒューメクタントです。
  • 主な役割は角層の水分を保ち、乾燥した肌をやわらかく、なめらかに整えることです。
  • セラミドやワセリンとは保湿の仕組みが異なり、同じ製品で組み合わせて使われることがあります。
  • 高濃度の原料を自己流で使うのではなく、肌用に処方された完成品を選びます。

グリセリンとは

グリセリンは、化学名をグリセロール(glycerol)という多価アルコールです。分子内に水となじみやすい部分を3つ持ち、水に溶けやすく、吸湿性があります。油脂を構成する成分の一部でもあり、人の皮膚にも血流や皮脂腺に由来するグリセリンが存在して、角層の水分保持に関わります。化粧品では主に保湿剤、皮膚コンディショニング剤、溶剤、製品の感触や粘度を調整する成分として利用されています。

根拠資料: [4][5][3]

グリセリンの主な効果は、角層の水分を保つこと

皮膚のもっとも外側にある角層は、水分が不足すると硬くなり、表面が粗く感じられます。グリセリンは水分子と結びつき、角層に水分を抱え込むヒューメクタントとして働きます。その結果、肌にうるおいを与え、やわらかく、なめらかな状態を保つのを助けます。皮膚科学のレビューでは、グリセリンが角層の水分量だけでなく、角層の柔軟性、細胞の剥がれ方、バリアに関わる脂質の状態などにも関係することが整理されています。

根拠資料: [4][8]

グリセリンが水分を引き寄せて角層のうるおいを保つイメージ図

乾燥肌と皮膚バリアの関係

皮膚バリアは、角層細胞と、その間を埋めるセラミドなどの細胞間脂質によってつくられています。グリセリンはセラミドのように脂質を補う成分ではありませんが、角層の水分環境を整える側からバリアを支えます。乾燥肌を対象にした研究では、グリセリンを含む保湿製剤の使用後に角層水分量や経皮水分蒸散量などが評価されています。ただし製品の働きは、グリセリンだけでなく、尿素、油性成分、乳化剤など処方全体によるものです。

根拠資料: [6][7]

ヒアルロン酸・セラミド・ワセリンとの違い

保湿成分は、角層に水分を引き寄せて保持するヒューメクタント、皮膚表面を覆って水分蒸散を抑える閉塞剤、角層の細胞間脂質を補う成分などに分けて考えると理解しやすくなります。グリセリン、BG、DPG、ヒアルロン酸はいずれもヒューメクタントとして使われますが、分子の大きさや溶剤としての役割、処方中の使用感は同じではありません。セラミドは角層の脂質構造、ワセリンは皮膚表面の閉塞に関わるため、グリセリンとは主な働き方が異なります。

根拠資料: [12][13][14]

グリセリン、セラミド、ワセリンの保湿における役割の違い

グリセリンと代表的な保湿成分の違い

同じ「保湿成分」でも、水分を抱える、角層脂質を補う、表面を覆って蒸発を抑えるなど主な役割が異なります。表は成分単体の優劣ではなく、処方中で担う代表的な機能を整理したものです。

グリセリン

分類
ヒューメクタント
主な役割
角層に水分を引き寄せて保持する
特徴
水溶性の低分子ポリオール。保湿のほか溶剤・粘度調整にも使われる。

BG(1,3-ブチレングリコール)

分類
ヒューメクタント/溶剤
主な役割
水分保持と、成分を溶かす処方上の補助
特徴
水溶性のグリコール。保湿剤・溶剤として幅広い剤形に使われる。

DPG(ジプロピレングリコール)

分類
ヒューメクタント/溶剤
主な役割
水分保持と、香料などを溶かす処方上の補助
特徴
グリコール類の一つ。完成品での役割は配合目的と処方によって変わる。

ヒアルロン酸Na

分類
ヒューメクタント
主な役割
水分を保持し、皮膚表面の保湿を支える
特徴
高分子の多糖類。分子量や誘導体、処方によって感触が変わる。

セラミド

分類
バリア脂質
主な役割
角層の細胞間脂質を構成し、バリア構造を支える
特徴
水を引き寄せるグリセリンとは異なり、角層脂質側から保湿を支える。

ワセリン

分類
閉塞剤(オクルーシブ)
主な役割
皮膚表面を覆い、水分の蒸発を抑える
特徴
水分を供給する成分ではなく、油性の膜で経皮水分蒸散を抑える。

根拠資料: [12][13][14]

化粧水・美容液・クリームでは役割が少し変わる

化粧水や美容液では、水系の処方で水分を保持するヒューメクタントとして使われます。乳液やクリームでは、グリセリンが角層に水分を保持し、油性成分や皮膜形成成分が蒸発を抑えるというように、複数の保湿機構を組み合わせられます。CIRの安全性評価では、グリセリンには保湿、皮膚コンディショニング、溶剤、粘度調整など複数の配合目的が報告されています。洗い流す製品は肌に残す製品より接触時間が短いため、成分名が同じでも使用感や保湿の持続は処方と使い方で変わります。

根拠資料: [3][12]

角層と水分、グリセリンを抽象的に表現した保湿処方のイメージ

乾燥肌・敏感肌・脂性肌での選び方

乾燥が強い肌では、グリセリンなどのヒューメクタントと、セラミドなどの脂質成分、ワセリンなどの閉塞剤を組み合わせた製品が、水分保持と蒸散抑制を別の経路から補います。敏感に傾いているときは、グリセリンの有無だけでなく、香料やエタノールを含む全処方と使用部位を確認します。脂性肌で重さが気になる場合は、水分の多いローションやジェル、乾燥が強い場合は乳液やクリームというように、油分量と剤形を選ぶのが実用的です。肌質別の適否はグリセリン単独では決まらず、完成品の処方と使用後の反応で判断します。

根拠資料: [12][13][3]

濃度が高いほどよいとは限らない

グリセリンの配合率だけから、完成品の保湿力やべたつきを予測することはできません。ポリオールと油分の濃度を変えたO/W乳化製剤のヒト試験では、皮膚水分量や粗さへの影響が両者の組み合わせで変わりました。また、10%グリセリン水溶液を用いた試験では、皮膚表面の摩擦特性に変化が確認されています。実際の感触は、BGなどほかの保湿剤、油性成分、増粘剤、塗布量にも左右されるため、濃度表示だけでなく剤形と試用時の感触を確認します。

根拠資料: [10][11]

乾燥した環境では、逆に肌の水分を奪う?

ヒューメクタントは周囲の水分と相互作用するため、湿度だけを切り取った説明から『乾燥した空気では肌の水分を奪う』といわれることがあります。しかし、実際の化粧品はグリセリン原料だけを塗るものではなく、水、油性成分、皮膜形成成分などを組み合わせた処方です。通常のグリセリン配合化粧品が乾燥環境で一律に肌を乾燥させる、という意味ではありません。乾燥が強い時期に化粧水だけでつっぱる場合は、乳液やクリームなど水分の蒸発を抑える製品を重ねる方法があります。

根拠資料: [8][9]

原液をそのまま肌に塗るのは避ける

化粧品原料として販売される高濃度のグリセリンと、肌に使うことを前提に設計された完成品は別物です。完成品は、水分量、pH、防腐設計、粘度、ほかの保湿成分との組み合わせを調整してつくられています。原料を水で自己流に薄めると、もとの防腐設計が成立せず、水や容器から微生物が混入する可能性があります。FDAも、化粧品に水を加えると保存料が薄まり、微生物汚染の危険が増すと注意しています。肌には使用方法が示された完成品を使います。

根拠資料: [15][3]

安全性と肌に合わないときの対応

Cosmetic Ingredient Review(CIR)は、報告された化粧品の使用方法と配合濃度の範囲で、グリセリンを安全に使用できる成分と評価しています。一般に刺激性や感作性は低い成分ですが、完成品には多くの成分が含まれ、まれに赤み、かゆみ、ひりつきなどが起こることがあります。異常が出たときは使用を中止して洗い流し、症状が強い、腫れや痛みがある、長引く場合は皮膚科を受診してください。

根拠資料: [3]

グリセリンと似た名前の成分

全成分表示の「グリセリン」は、glycerolそのものです。「ジグリセリン」はグリセリンが2分子結合した別の保湿成分、「エチルヘキシルグリセリン」は保湿や防腐補助に使われる別成分、「ステアリン酸グリセリル」は脂肪酸とグリセリンからつくられる乳化成分です。「グリセレス-26」などのグリセレス類も別成分です。名前が似ていても、性質と役割は同じではありません。

全成分表示の読み方

日本の化粧品は、原則として配合量の多い順に全成分を表示します。ただし、配合量が1%以下の成分は順不同で表示でき、着色剤にも例外があります。グリセリンが表示の前方にあることは処方を読む手掛かりになりますが、正確な濃度は分かりません。別の商品と表示順だけを比べて、保湿力の高低を決めることもできません。濃度が公開されている場合は、その製品の公式情報を確認します。

根拠資料: [1][2]

全成分表示でグリセリンと似た名称の別成分を確認する図

グリセリンのよくある質問

グリセリンとグリセロールは同じ成分ですか?

はい。同じ化合物です。化学・医学文献ではglycerol(グリセロール)、日本の化粧品の全成分表示では主に「グリセリン」と記載されます。

グリセリンにはどのような効果がありますか?

水分を抱え込み、角層にうるおいを与える保湿効果が中心です。乾燥して硬くなった角層をやわらかく保ち、なめらかな感触を支えます。製品では油性成分などと組み合わせて使われます。

グリセリンとヒアルロン酸はどちらがよいですか?

どちらも水分を抱える保湿成分ですが、分子の大きさや使用感が異なります。併用されることも多く、一方が常に優れているわけではありません。べたつき、剤形、油性成分との組み合わせまで含めて選びます。

グリセリンはニキビや毛穴詰まりの原因になりますか?

グリセリンは水溶性の保湿成分で、油そのものではありません。グリセリン単独を一般的な毛穴詰まりの原因とする十分な根拠はありませんが、ニキビのできやすさや重い使用感は製品全体の処方と肌の状態で変わります。気になる場合は軽い剤形を選び、使用後の変化を確認します。

グリセリンフリーの方が脂性肌やニキビ肌によいですか?

一律に優れているとはいえません。グリセリンのしっとり感やべたつきが好みに合わない人が、使用感を基準にグリセリンフリーを選ぶことはあります。一方、脂性肌でも角層の水分が不足することはあるため、軽い保湿製品が合う場合もあります。

グリセリン原液を化粧水代わりに使えますか?

原液をそのまま塗ったり、自己流で薄めて保存したりする使い方は勧められません。原液は粘りが強く、完成品とは使用感が異なります。水で薄めたものには微生物汚染を防ぐ設計もありません。肌用に処方された完成品を使ってください。

空気が乾燥していると、グリセリンが肌の水分を奪いますか?

通常のグリセリン配合化粧品が、乾燥した環境で一律に肌を乾燥させるという意味ではありません。完成品は水や油性成分などを組み合わせて設計されています。化粧水だけで乾燥を感じる場合は、乳液やクリームを重ねる方法があります。

植物性グリセリンの方が肌にやさしいですか?

精製後のグリセリンは、植物由来・動物由来・合成由来であっても化学的には同じglycerolです。由来だけで刺激性や保湿力の優劣は決まりません。ヴィーガンなど原料方針を重視する場合は、メーカーの表示を確認します。

グリセリンで赤みやかゆみが出ることはありますか?

一般に刺激性・感作性は低い成分ですが、どの化粧品でも肌に合わない反応は起こり得ます。赤み、かゆみ、ひりつきが出たら使用を中止し、症状が強い、腫れる、長引く場合は皮膚科を受診してください。

編集: みんなの成分表編集部記事・データの作成方針運営会社

医師監修

正田 快医師
正田 快 医師

千葉大学病院所属

形成・美容外科

順天堂大学医学部卒

最終監修日: 2026.07.18

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