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マグネシウムとは?働き・食べ物・摂取量・サプリの注意点

栄養成分

マグネシウムは、エネルギー産生、たんぱく質合成、神経伝達、筋収縮、骨の形成などに関わる必須ミネラルです。成人の推奨量は年齢・性別で1日270〜380mgです。通常の食品以外から摂る場合、成人の耐容上限量は350mg/日で、サプリメント等による過剰摂取では下痢が起こりやすくなります。食品や栄養補助サプリの『マグネシウム○mg』と、便秘薬などの『酸化マグネシウム○mg』は同じ量ではなく、目的も管理も異なります。

みんなの成分表編集部

査読論文・公的資料・公式表示を基にした編集部解説・最終更新

この記事の要点

  • マグネシウムは300種類を超える酵素反応、エネルギー産生、神経・筋、骨の維持に関わります。
  • 成人の推奨量は男性330〜380mg/日、女性270〜290mg/日で、年齢により異なります。
  • 成人の350mg/日という上限は、通常の食品ではなく、サプリメントなど通常食品以外から摂る量に対する基準です。
  • サプリの元素マグネシウム量と、便秘薬・制酸薬の酸化マグネシウム量は直接比較できません。

マグネシウムとは

マグネシウムは体内でつくれない必須ミネラルです。成人の体内には約25gがあり、50〜60%は骨に、残りは筋肉や軟部組織などに存在します。300種類を超える酵素反応の補因子として、ATPを使うエネルギー産生、たんぱく質やDNA・RNAの合成、神経伝達、筋収縮、血糖・血圧の調節、カルシウムやカリウムの輸送などを支えます。特定の一つの臓器だけに働く成分ではなく、生命活動の基盤となる反応へ広く関与する栄養素です。

根拠資料: [4][7]

マグネシウムが酵素反応、骨、筋肉、神経、エネルギー代謝に関わる一般的な役割

日本人の1日摂取量:年齢・性別で推奨量が異なる

日本人の食事摂取基準(2025年版)では、18〜29歳の推奨量は男性340mg、女性280mg、30〜49歳は男性380mg、女性290mg、50〜64歳は男性370mg、女性290mg、65〜74歳は男性350mg、女性280mg、75歳以上は男性330mg、女性270mgです。これは習慣的な摂取量の基準で、1日だけ下回ったから直ちに欠乏するという意味ではありません。食品やサプリの表示を比べるときは、自分の年齢・性別に対応する値を確認します。

根拠資料: [1][2][3]

妊娠中・授乳中の付加量

2025年版では、妊婦は同年代の女性に対し推定平均必要量で30mg/日、推奨量で40mg/日の付加量が設定されています。例えば30〜49歳の妊婦では、女性の推奨量290mg/日に付加量40mg/日を加えて考えます。授乳婦の付加量は0です。これは妊娠中に一律40mgのサプリメントを追加する指示ではありません。食事全体、つわり、便秘薬、マルチビタミン・ミネラル、腎機能や服薬を含めて総量を確認し、補助食品を使う場合は産科の医師・薬剤師へ相談します。

根拠資料: [1][2]

マグネシウムを含む食べ物

マグネシウムは、玄米や全粒穀物などの穀類、大豆・豆腐・納豆などの豆類、アーモンドやごまなどの種実類、葉物野菜、海藻類などに含まれます。一つの食品だけに頼るより、主食を精製度の低い穀類へ一部置き換える、豆類や野菜を副菜へ加える、間食に無塩の種実類を適量選ぶなど、複数の食品群から摂る方が食生活へ組み込みやすくなります。正確な含有量は、食品の種類、可食部、調理状態、食べた重量を文部科学省の食品成分データベースで確認します。

根拠資料: [4][7][11]

表示の読み方:元素量と化合物量を分ける

栄養補助目的の製品では、まず1日摂取目安量に含まれる『マグネシウムとして』の量を確認します。例えば、化合物名にマグネシウムが含まれていても、化合物全体の重量がそのままマグネシウム量になるわけではありません。酸化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、塩化マグネシウムは、マグネシウム以外の部分を含む別々の化合物です。栄養成分表示のマグネシウム量と、医薬品の有効成分量を同じ表へ並べる場合は、元素量か化合物量かを明示しない限り比較できません。

根拠資料: [7][9]

酸化マグネシウムなどの化合物名とマグネシウム元素量を分けて確認する図

マグネシウム製品・表示の違い

同じ『マグネシウム』でも、食品、栄養補助、医薬品では表示単位と目的が異なります。商品横断比較では、元素量と化合物量を分けます。

通常の食品

分類
食品
主な役割
食事から栄養素として摂取
特徴
穀類、豆類、種実類、野菜、海藻類など。成人350mg/日の『通常食品以外』の上限は適用しません。

酸化マグネシウム配合サプリ

分類
栄養補助食品
主な役割
マグネシウムの補給
特徴
商品比較では酸化物全体の重量ではなく、1日量当たりのマグネシウム量を確認します。

クエン酸・塩化・乳酸等のマグネシウム

分類
栄養補助食品
主な役割
マグネシウムの補給
特徴
溶解性や吸収の研究はありますが、塩名だけで全製品の優劣は決まりません。元素量と忍容性を確認します。

酸化マグネシウム製剤

分類
医薬品
主な役割
制酸・緩下
特徴
酸化マグネシウムの化合物量で表示。栄養サプリと目的・用量・安全管理が異なります。

根拠資料: [7][9][1]

栄養機能食品(マグネシウム)の意味

栄養機能食品としてマグネシウムの機能を表示するには、現行基準で1日摂取目安量当たり96〜300mgの範囲に入り、定められた機能表示と注意喚起を行う必要があります。この範囲は、成人全員の推奨量やサプリメント一般の安全上限を示すものではありません。栄養機能食品は規格基準へ適合すれば事業者の責任で表示できる制度で、国が製品ごとに有効性を審査・許可したものではありません。制度改正が検討されているため、購入時と記事公開時は消費者庁の最新表示を確認します。

根拠資料: [5][6]

不足しやすい人と欠乏の考え方

健康な人では、摂取量が一時的に少ないだけで明らかな欠乏症状が出ることは多くありません。腎臓が尿中排泄を調節し、骨などにも貯蔵されているためです。一方、慢性的な下痢や吸収不良を伴う消化管疾患、2型糖尿病、アルコール依存、高齢などでは不足リスクが高まります。長期の不足では、食欲低下、吐き気、疲労、脱力から、重い場合はしびれ、筋けいれん、不整脈、低カルシウム・低カリウム血症などが生じ得ますが、これらはマグネシウム不足だけに特有の症状ではありません。症状だけで自己診断せず、背景疾患と検査を含めて医療機関で評価します。

根拠資料: [7]

血清マグネシウムだけでは体内総量を捉えにくい

体内マグネシウムのうち血清中にあるのは1%未満で、血清濃度は狭い範囲に調節されています。このため、血清マグネシウムは臨床上重要な検査ですが、正常値だけで体内貯蔵量が十分と断定できるわけではありません。必要に応じて、症状、食事、消化管・腎機能、薬、ほかの電解質などを合わせて評価します。一般の人がサプリメント量を決めるために、単一の数値だけを自己解釈することは避けます。

根拠資料: [7]

サプリメントの種類:塩の名称だけで優劣を決めない

サプリメントには酸化物、クエン酸塩、塩化物、乳酸塩、アスパラギン酸塩などが使われます。小規模な比較研究では、溶けやすいクエン酸塩、塩化物、乳酸塩、アスパラギン酸塩が、酸化物や硫酸塩より吸収されやすかった例があります。ただし、製品の元素マグネシウム量、用量、食事との組み合わせ、剤形、下痢の起こりやすさ、研究条件が異なるため、塩名だけで全製品の効果や吸収率を順位付けできません。目的が栄養補助なら、まず1日量とほかの製品との重複を確認します。

根拠資料: [7]

サプリメントの上限と下痢:成人350mg/日は食品以外からの量

日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人が通常の食品以外から摂るマグネシウムの耐容上限量を350mg/日、子どもを5mg/kg体重/日としています。通常の食品に含まれるマグネシウムにはこの上限を適用しません。サプリメントや一部の医薬品から多く摂ると、腸管内へ水分を引き込み、下痢、吐き気、腹部けいれんが起こることがあります。350mgは摂取目標ではなく、習慣的な過剰による有害事象を避けるための基準です。

根拠資料: [1][2][7]

マグネシウムサプリの摂取量、体調、腎機能、薬との飲み合わせを確認する図

腎機能低下時は高マグネシウム血症に注意

健康な腎臓は余分なマグネシウムを尿へ排泄しますが、腎機能が低下すると体内に蓄積しやすくなります。非常に高い血中濃度では、血圧低下、吐き気、筋力低下、傾眠、呼吸抑制、不整脈など重い症状につながることがあります。腎疾患がある人、高齢者、便秘薬として酸化マグネシウムを長期使用する人は、栄養サプリを追加する前に医師・薬剤師へ確認します。服用中に嘔吐、脈が遅い、強い脱力、眠気などが現れた場合は、速やかに医療機関へ相談します。

根拠資料: [7][9][10]

酸化マグネシウムの便秘薬・制酸薬は栄養サプリと別物

酸化マグネシウムは医薬品として、胃酸を中和する制酸作用や、腸管内へ水分を移動させ便を軟らかくする緩下作用を目的に使われます。製品に示される『酸化マグネシウム○mg』は化合物としての有効成分量で、栄養成分表示の『マグネシウム○mg』と直接比較できません。便秘の治療量、回数、継続期間は添付文書や処方に従います。通常量でも高マグネシウム血症が報告されているため、特に長期使用、腎機能低下、高齢者では定期的な確認が重要です。

根拠資料: [9][10]

栄養サプリメントと酸化マグネシウムの便秘薬・制酸薬を分けて確認する図

薬との飲み合わせ:抗菌薬などの吸収を妨げることがある

マグネシウムは消化管内で一部の薬と結合し、薬の吸収を低下させることがあります。代表例はテトラサイクリン系・キノロン系抗菌薬、骨粗鬆症に使う経口ビスホスホネートです。必要な服用間隔は薬ごとに異なるため、サプリメントや便秘薬を含め、薬の添付文書と薬剤師の指示に従います。また、ループ・サイアザイド系利尿薬はマグネシウム排泄を増やすことがあり、カリウム保持性利尿薬は排泄を減らすことがあります。プロトンポンプ阻害薬の長期使用でも低マグネシウム血症が報告されています。薬を自己判断で中止せず、使用製品をまとめて伝えます。

根拠資料: [7][8]

血圧・睡眠・片頭痛などへの『効果』は栄養素の役割と分ける

マグネシウムと血圧、血糖、片頭痛、睡眠、筋けいれんなどの関係は研究されています。しかし、対象者の不足状態、疾患、投与量、塩の種類、評価期間が異なり、健康な人が市販サプリを摂れば一律に症状が改善するとはいえません。厚生労働省の2025年版食事摂取基準も、生活習慣病予防の目標量を設定できるほどの根拠はないと整理しています。食事摂取基準を満たすことと、疾患を治療することを分け、症状がある場合は診断・標準治療を優先します。

根拠資料: [1][7]

利用上の注意: 腎機能が低下している人、酸化マグネシウム製剤を長期使用している人、高齢者、抗菌薬・ビスホスホネート・利尿薬・PPIなどを使用している人は、サプリメントを追加する前に医師・薬剤師へ確認してください。下痢が続く、嘔吐、徐脈、強い脱力、眠気などがある場合は医療機関へ相談します。

マグネシウムのよくある質問

マグネシウムにはどんな働きがありますか?

エネルギー産生、たんぱく質・DNA・RNAの合成、神経伝達、筋収縮、骨の形成、カルシウム・カリウムの輸送など、300種類を超える酵素反応に関わる必須ミネラルです。

マグネシウムが多い食べ物は何ですか?

穀類、豆類、種実類、葉物野菜、海藻類などに含まれます。含有量は食品と調理状態で変わるため、文部科学省の食品成分データベースで可食部100g当たりの値を確認し、食べた重量へ換算します。

成人は1日に何mg必要ですか?

2025年版の推奨量は、男性330〜380mg/日、女性270〜290mg/日で、年齢により異なります。30〜49歳では男性380mg、女性290mgです。これは習慣的な摂取量の基準です。

マグネシウムの上限は350mgですか?

成人350mg/日は、サプリメントなど通常の食品以外から摂る量の耐容上限量です。食品中のマグネシウムを含めた総量の上限ではなく、350mgまで摂ることを勧める値でもありません。

サプリメントで下痢になるのはなぜですか?

吸収されなかったマグネシウム塩が腸管内へ水分を引き込むため、量が多いと下痢や腹部けいれんが起こりやすくなります。複数製品の合計量を確認し、症状が続く場合は使用を見直して医師・薬剤師へ相談します。

酸化マグネシウムとマグネシウムは同じ量ですか?

同じではありません。酸化マグネシウムはマグネシウムと酸素からなる化合物です。医薬品の『酸化マグネシウム○mg』と、栄養表示の『マグネシウム○mg』は直接比較できません。

クエン酸マグネシウムは酸化マグネシウムより吸収がよいですか?

小規模研究では、クエン酸塩など溶けやすい形が酸化物より吸収されやすかった例があります。ただし、用量、製品、研究条件で異なります。塩の名称だけで優劣を決めず、元素マグネシウム量、1日量、下痢などの忍容性を確認します。

便秘薬の酸化マグネシウムを飲んでいてもサプリを追加できますか?

自己判断での追加は避けてください。便秘薬とサプリの両方からマグネシウムを摂ることになり、特に腎機能低下、高齢、長期使用では高マグネシウム血症へ注意が必要です。処方医または薬剤師へ両方の製品名と量を伝えます。

腎臓が悪いとマグネシウムサプリは危険ですか?

腎機能が低下すると余分なマグネシウムを排泄しにくく、体内に蓄積する可能性があります。腎疾患がある人は、サプリメントや酸化マグネシウム製剤を自己判断で追加せず、医師・薬剤師へ確認してください。

抗菌薬と一緒に飲んでもよいですか?

テトラサイクリン系・キノロン系抗菌薬などは、マグネシウムと結合して吸収が低下することがあります。必要な服用間隔は薬ごとに異なるため、添付文書と薬剤師の指示に従ってください。

妊娠中はどれくらい追加すればよいですか?

2025年版では推奨量に40mg/日の付加量がありますが、サプリを一律40mg追加する指示ではありません。食事、マルチミネラル、便秘薬を含む総量を確認し、産科の医師・薬剤師へ相談します。授乳婦の付加量は0です。

マグネシウムを摂れば血圧や睡眠は改善しますか?

関連は研究されていますが、健康な人が市販サプリを摂れば一律に改善するとはいえません。不足の有無、対象疾患、用量、製剤で結果が異なります。高血圧や不眠の診断・標準治療の代わりにはしません。

栄養機能食品は国が効果を審査した商品ですか?

いいえ。栄養機能食品は、含有量と表示などの規格基準を満たせば事業者の責任で表示できる制度で、国が製品ごとに効果を審査・許可したものではありません。

編集: みんなの成分表編集部記事・データの作成方針運営会社

医師監修

正田 快医師
正田 快 医師

千葉大学病院所属

形成・美容外科

順天堂大学医学部卒

最終監修日: 2026.07.18

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