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この記事の要点
- 食塩相当量は、食品中の全ナトリウムを食塩の重さへ換算した表示値です。
- ナトリウムmgからは『×2.54÷1,000』で食塩相当量gへ換算します。
- 18歳以上の目標量は男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満です。
- 高血圧・CKDの重症化予防では、男女とも6g/日未満が目標です。
- 商品比較では、100g・1食・1包装など表示の分母と、実際に食べる量をそろえます。
食塩相当量とは:ナトリウムを食塩の重さに置き換えた値
食塩相当量は、食品中のナトリウム量から『同じ量のナトリウムを食塩(塩化ナトリウム)で摂ると何gになるか』を計算した値です。食塩は重量の約39.3%がナトリウム、約60.7%が塩素でできているため、ナトリウムの重さより食塩相当量の方が約2.54倍大きくなります。グルタミン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等に由来するナトリウムも換算対象です。したがって、食塩相当量は食品へ実際に加えた食塩だけの重量ではありません。
ナトリウム・食塩・食塩相当量の違い
ナトリウムは元素・ミネラルの名称です。食塩は主に塩化ナトリウムからなる調味料で、ナトリウムと塩素を含みます。食塩相当量は分析・計算したナトリウム量を、すべて塩化ナトリウム由来と仮定して換算した表示上の指標です。『ナトリウム1g=食塩1g』ではなく、ナトリウム1gは食塩相当量約2.54gです。食品の原材料と栄養成分表示は別の情報なので、原材料欄だけから食塩相当量を正確に計算することはできません。
食塩相当量と似た表示の違い
同じ『塩分』の話に見えても、物質名、実際の量、換算値では意味が異なります。栄養成分表示と原材料名を分けて読みます。
食塩相当量
- 分類
- 栄養成分表示の換算値
- 主な役割
- 食品中の全ナトリウムを食塩の重量へ換算
- 特徴
- ナトリウム(mg)×2.54÷1,000でgへ換算。実際の食塩添加量とは限りません。
ナトリウム
- 分類
- ミネラル・元素
- 主な役割
- 体液量・浸透圧、神経・筋機能等に関与
- 特徴
- 塩化ナトリウムだけでなく、他のナトリウム塩や食品固有の成分にも含まれます。
食塩(塩化ナトリウム)
- 分類
- 化合物・調味料
- 主な役割
- 調味、保存、食品加工
- 特徴
- 重量の約39.3%がナトリウム。食塩1gはナトリウム約393mgに相当します。
その他のナトリウム塩
- 分類
- 食品添加物・食品中の化合物
- 主な役割
- 調味、pH調整、膨張、保存等、物質ごとに異なる
- 特徴
- グルタミン酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム等。由来するナトリウムは食塩相当量へ含まれます。
ナトリウムから食塩相当量への換算方法
ナトリウムがmg表示なら『ナトリウム(mg)×2.54÷1,000=食塩相当量(g)』、g表示なら『ナトリウム(g)×2.54』です。例としてナトリウム400mgは、400×2.54÷1,000=食塩相当量1.016gで、表示の丸めにより約1.0gとなる場合があります。逆算は『食塩相当量(g)÷2.54×1,000=ナトリウム(mg)』です。商品表示は分析値または計算値の丸めを含むため、手計算の末尾が完全に一致しないことがあります。

ナトリウムは体内で何をしているか
ナトリウムは主に細胞外液に存在し、体液量、浸透圧、酸塩基平衡の調節、神経や筋肉の働きに関わる必須ミネラルです。摂取したナトリウムの量に応じて、主に腎臓からの排泄量が調節され、体内の濃度が保たれています。ただし、日本の通常の食生活では必要量を大きく上回って摂取していることが多く、健康な人で食事由来の欠乏が起こることはまれです。大量の発汗、嘔吐、下痢、病気や薬の影響でナトリウムが失われる状況は、普段の食生活における減塩とは分けて扱います。
日本の栄養成分表示で食塩相当量が使われる理由
容器包装に入れられた一般用加工食品と添加物では、原則として熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの表示が必要で、ナトリウムは食塩相当量として表示します。これは、消費者が食塩摂取量の目標と結び付けて読めるようにするためです。ただし、小規模事業者が販売する場合など表示義務の免除規定があり、すべての食品に同じ形式の表示があるわけではありません。ナトリウム塩を添加していない食品では、一定の条件でナトリウム量を併記できる場合があります。
100g当たり・1食当たり・1包装当たりを見分ける
栄養成分表示の食品単位には、100g、100mL、1食、1包装、その他の1単位が使われます。食塩相当量0.5gでも、100g当たりなのか、30gの1食当たりなのか、500mLの1本当たりなのかで意味は変わります。1食当たり表示では、その1食が何g・何個かも確認します。異なる分母を同じ表で比べる場合は、実際の1回量へ換算するか、100g当たりへそろえるかを先に決め、換算前の元表示も残します。

実際に食べた量から食塩相当量を計算する
100g当たり食塩相当量1.2gの商品を60g食べた場合は、1.2÷100×60=0.72gです。1包装当たり2.0gでも半分だけ食べれば、均一に含まれると仮定して約1.0gです。一方、麺とスープ、具とたれのように成分が均一でない食品は単純な重量比では計算できません。スープを残す場合など、表示値は食べ切ったときの値でも実際の摂取量は少なくなることがあります。製品に『めん・かやく』『スープ』の内訳があれば、それを使います。
1日の目標量:成人男性7.5g未満、女性6.5g未満
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、18歳以上の食塩相当量の目標量は男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満です。妊婦・授乳婦も同年代女性と同じ目標量です。これは生活習慣病予防のために、習慣的な摂取量を目標へ近づける指標です。1日だけ超えたことから健康影響を判定する数字ではなく、数日から長期の食事全体で見ます。加工食品の表示、家庭で加える調味料、外食を合わせて考えます。

食塩相当量1.5gは『1日の目標』ではない
18歳以上の推定平均必要量はナトリウム600mg/日、食塩相当量1.5g/日と推定されています。これは不可避損失を補い、半数の人の必要量を満たすと推定される欠乏回避側の指標です。日本では通常の食事で不足することはまれで、1.5gを毎日必ず追加する、または1.5gまで減らすという意味ではありません。減塩の実務では、生活習慣病予防の目標量や、疾患がある場合の治療目標を使います。
高血圧・慢性腎臓病では6g/日未満
2025年版の食事摂取基準では、高血圧と慢性腎臓病(CKD)の重症化予防を目的とした量を男女とも食塩相当量6.0g/日未満としています。日本高血圧学会も高血圧の減塩目標を6g/日未満としています。ただし、心不全、腎不全、透析、利尿薬使用、低ナトリウム血症などでは、塩分・水分・カリウムの管理が個別に変わります。一般向けの6gという数字で処方や医療者の指示を置き換えません。
5g・6g・7g・7.5gの数字は目的が違う
WHOは成人にナトリウム2,000mg/日未満、食塩5g/日未満を勧告しています。日本の食事摂取基準は成人男性7.5g未満、女性6.5g未満、高血圧・CKDでは6g未満です。健康日本21(第三次)の7gは、2032年度までに国民の平均食塩摂取量を下げる人口全体の政策目標です。WHO値は国際的な予防目標、食事摂取基準は日本人の個人向け基準、健康日本21は国民平均の目標であり、対象を示さず数字だけを引用しません。
食塩摂取は食卓塩だけではない
日本人のナトリウム摂取には、しょうゆ、みそ、食塩、だし・つゆ、ドレッシング等の調味料が大きく関わります。厚生労働省の解説では、40〜59歳の成人でナトリウム摂取のおよそ半分が調味料・食塩由来とされています。加えて、漬物、麺類の汁、パン、ハム・練り製品、惣菜、冷凍食品、外食などにも含まれます。『薄味に感じるか』だけでは判断せず、栄養成分表示と使用量を確認します。酸味、香辛料、香味野菜、だしの風味を使うと、食塩を増やさず味を整えやすくなります。
加工食品・プロテイン・サプリの比較方法
加工食品では、普段食べる1回量へ換算した食塩相当量をまず確認します。プロテインは付属スプーン1回の重量が商品ごとに異なるため、1食当たりは使用場面、100g当たりは製品中の比率を見る指標として分けます。サプリメントでは、栄養成分としてのナトリウム・食塩相当量と、クエン酸ナトリウム等の原材料名を混同しません。幅表示は中点へ勝手に置き換えず、範囲のまま示します。『少ないほど優れた商品』とはせず、食事全体、目的、ほかの栄養成分と合わせて読みます。

汗をかいたとき、全員が塩分を追加する必要はない
通常の生活や一般的な暑さでは、日本人の多くは食事から十分以上の食塩を摂っており、『夏だから』という理由だけで一律に塩分を追加する必要はありません。一方、高温環境で長時間の運動・作業を行い大量に発汗した場合、嘔吐・下痢がある場合などは、水分と電解質の補給が必要になることがあります。持病、服薬、発汗量、運動時間で適切な補給は異なります。高血圧・心疾患・腎疾患等で制限中の人は、塩飴や電解質製品を自己判断で常用せず、医療者の指示を優先します。
経口補水液は日常の水分補給用ではない
経口補水液は、感染性胃腸炎等による下痢・嘔吐に伴う脱水時に、水と電解質を補給するための病者用食品です。スポーツドリンクよりナトリウムとカリウムが多く、平常時の水分補給として日常的に飲む製品ではありません。消費者庁の許可基準ではナトリウム92〜138mg/100mL、カリウム59〜98mg/100mLの範囲が示されています。脱水時も自己判断で常用せず、製品表示を読み、医師等から指示された場合はその飲み方を守ります。高血圧、腎機能低下、心疾患等でナトリウム・カリウム制限がある人は、使用前に医療者へ確認します。
利用上の注意: 高血圧、慢性腎臓病、心不全、肝疾患、むくみ、低ナトリウム血症等がある人、利尿薬・降圧薬等を使用している人は、一般向けの目標量だけで塩分・水分・カリウムを自己調整しないでください。嘔吐・下痢、意識障害、強い脱水症状がある場合は、経口補水液だけで対応できるとは限りません。医療者から個別の指示を受けている場合はその指示を優先します。
食塩相当量のよくある質問
食塩相当量とは何ですか?
食品中の全ナトリウムを、同じナトリウム量を含む食塩の重さへ換算した値です。実際に加えた食塩だけの重さではありません。
食塩相当量とナトリウムは同じですか?
同じではありません。ナトリウムはミネラルの量、食塩相当量はそのナトリウムを食塩の重さへ換算した値です。ナトリウム1gは食塩相当量約2.54gです。
ナトリウムmgを食塩相当量gに換算するには?
ナトリウム(mg)×2.54÷1,000で計算します。ナトリウム400mgなら食塩相当量は約1.016gです。
成人の食塩相当量は1日何gが目標ですか?
日本人の食事摂取基準(2025年版)では18歳以上の男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満です。妊婦・授乳婦も同年代女性と同じ目標です。
高血圧では1日何gですか?
高血圧の重症化予防では男女とも6g/日未満が目標です。治療中は血圧、腎機能、薬などで個別の指示があるため、主治医の指示を優先します。
食塩相当量1.5gが必要量というのは、毎日1.5g摂ればよいという意味ですか?
いいえ。1.5gは成人の推定平均必要量に相当する欠乏回避側の推定値で、摂取目標や減塩の下限ではありません。通常の日本の食事で不足はまれです。
100g当たりと1食当たりはどちらを見ればよいですか?
実際の摂取量を知るなら1食当たり、配合比率をそろえて比較するなら100g当たりが役立ちます。1食の重量が異なる商品は両方を分けて見ます。
夏や運動時は塩分を多めに摂るべきですか?
通常の生活で一律に増やす必要はありません。高温下の長時間運動・作業で大量に発汗した場合などは別ですが、持病や薬で適切な補給が異なります。
経口補水液は毎日の水分補給に使えますか?
経口補水液は感染性胃腸炎等による脱水時の病者用食品で、日常的な水分補給用ではありません。ナトリウムとカリウムが多いため、制限中の人は特に注意します。
減塩塩なら多く使ってもよいですか?
いいえ。食塩相当量と使用量を確認します。塩化カリウムを含む製品は、腎機能低下や一部の薬で高カリウム血症の危険があるため、医療者の指示がある人は相談してください。
参考文献
- [1]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2025年版)策定のポイント
- [2]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2025年版)ミネラル各論・ナトリウム
- [3]厚生労働省 健康日本21アクション支援システム:ナトリウム
- [4]厚生労働省:食環境づくりのためのナトリウム解説
- [5]厚生労働省 健康日本21アクション支援システム:栄養・食生活と高血圧
- [6]厚生労働省 健康日本21アクション支援システム:カリウム
- [7]厚生労働省:健康日本21(第三次)推進のための説明資料
- [8]消費者庁:栄養成分表示について
- [9]消費者庁:早わかり食品表示ガイド(事業者向け・第5版)
- [10]消費者庁:栄養成分表示を活用しよう
- [11]消費者庁:栄養成分表示の活用方法
- [12]消費者庁:経口補水液とは
- [13]消費者庁:経口補水液を日常の水分補給として飲まないでください
- [14]消費者庁:経口補水液の許可基準と表示事項
- [15]World Health Organization: Sodium reduction (fact sheet)
- [16]日本高血圧学会:高血圧と減塩・食塩摂取量について
- [17]文部科学省 食品成分データベース:食塩相当量の計算
医師監修

千葉大学病院所属
形成・美容外科
順天堂大学医学部卒
最終監修日: 2026.07.18